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山王ドームクリニック

尿失禁について

尿失禁とは

自分が意図していないのに、時間や場所を選ばないで尿が漏れてしまう状態が尿失禁です。
約1千万人のアメリカ成人がかかっていて、このうち一般社会人の15〜20%、老人ホームの患者の50%以上にみられるとのことです。日本でも約3百万人が尿失禁にかかっていると予想されますが、患者の50%以上は、診断や治療を受けていません。超高齢化社会を迎えるにあたって、だれもが尿失禁という病気を理解し、我が身にこの病気がふりかかってきたときには、ためらうことなく医師に相談し、自分から積極的にこの病気に打ち勝とういう前向きな姿勢を持つことが大切です。
尿失禁は腹圧性、切迫性、溢流(いつりゅう)性の3大尿失禁と真性尿失禁などに分類されます。女性の尿失禁としては腹圧性尿失禁が全体の約70%、切迫性尿失禁が約30%、溢流性尿失禁が1%程度です。ただし、分娩時期以前では切迫性尿失禁の頻度が高く、分娩をきっかけに、その後は腹圧性尿失禁が多くなります。中高年女性では腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が混合した混合型の尿失禁も多くなり、診断や治療に迷うことも少なくありません。また高齢女性になると中枢神経系の疾患が多くなり、切迫性尿失禁の頻度が高くなる傾向となります。溢流性尿失禁に頻度は全年齢を通してあまり高いものではありません。

腹圧性尿失禁・くしゃみなどで尿が漏れる

腹圧性尿失禁とは力んだとき、すなわち腹圧が加わったときに膀胱が圧迫され、膀胱内圧が尿道を閉める力(尿道閉鎖圧)を越えるために尿が漏れるものです。ですから咳きやくしゃみ、縄跳びやテニスをしたとき、カラオケで大きな声で歌ったときなどに生じます。
この失禁は骨盤底の筋肉群が弱くなって、骨盤内臓器が垂れ下がるためにおこります。主に、分娩により赤ちゃんの頭で骨盤内が圧迫され、骨盤内の筋肉や筋膜がのびたり、裂けたりすることが原因となります。2人以上の赤ちゃんを出産した女性で、中年になって筋肉の老化を伴う頃から症状が強く現れてきます。

切迫性尿失禁・トイレに行くまで我慢できない

膀胱の筋肉は平滑筋でできており、この筋肉は常に収縮するように働いています。一方、大脳皮質には膀胱の平滑筋を弛緩させ、尿を膀胱にためようとする抑制中枢があります。膀胱が刺激過剰状態にあったり、中枢からの指令がとだえるような事態が生じた場合に切迫性尿失禁が出現します。膀胱の刺激過剰状態は慢性膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍などで出現し、中枢の抑制経路を遮断する疾患としては、脳溢血、脳梗塞、パーキンソン病、脊髄疾患などがあります。この病態は突然強い尿意を催すと我慢ができず、トイレに飛び込む間もなく尿が漏れてしまいます。夜間に布団を濡らすことがあります。

溢流性尿失禁・尿がいつも漏れている

神経学的な異常により膀胱の収縮が抑制され、尿はどんどん膀胱内にたまるのに尿道閉鎖圧は正常のため膀胱容量が極限に達した時点で膀胱内圧が尿道閉鎖圧を越えてしまい、ちょろちょろと尿が漏れ続けるものです。膀胱はいっぱいの状態なので尿漏れは止まりません。この病態を溢流性尿失禁ろいい、主に、骨盤内臓器の手術後に生じます。女性だは子宮癌の根治手術後や放射線療法を受けた後で発症します。この疾患に対しては現在のところ間欠自己導尿法がもっともよい対応法です。これは自分でカテーテルを用いて時間ごとに導尿するもので、この方法になれれば、デパートでの買い物や旅行などの外出も容易です。

尿失禁の予防

腹圧性尿失禁は出産回数が多くなると骨盤底筋群がのびたり、裂けたりし、加齢によって筋肉が弱くなるのと相まって骨盤内臓器が垂れ下がり、尿道と膀胱の角度が開いて尿漏れが発症するものです。骨盤底筋をきたえることによって予防が可能ですから、心配な方は骨盤底筋訓練法を実行して下さい。 切迫性尿失禁では慢性膀胱炎や膀胱結石などの原因となる疾患を早く除去することが大切です。また中高年期以後に出現する成人病、すなわち高血圧、糖尿病、肥満などは、中枢神経系の疾患を生じることが多く、切迫性尿失禁の原因となりますので、日頃から健康管理を心がけましょう。

尿失禁の治療

腹圧性尿失禁の治療

◆ 骨盤底筋訓練法
腹圧性尿失禁の保存的治療の第一は骨盤底筋を強化し、骨盤内臓器の下垂を予防することです。そのためには骨盤底を支えている筋肉の強化が必要で、実際には肛門をギュと奥に向かって強く締める運動が効果的です。朝晩30回程度、肛門を締める運動を毎日繰り返して下さい。2〜3カ月後には効果が出て、尿漏れが減少してきます。トイレで排尿中に排尿を中断する方法を繰り返すことも尿道括約筋の強化に有効です。

◆その他の保存的治療
腹圧性尿失禁の保存的療法としては、他に薬物療法や電気刺激療法などがあります。薬物療法としてはβ2刺激剤があり、これは膀胱平滑筋を弛緩させ、尿道閉鎖圧を高め尿漏れを予防します。またα刺激剤のエフェドリンは高血圧を招く恐れがありますので、その使用には注意が必要です。 手術療法 尿漏れが多い場合には尿流動態検査やX線鎖尿道撮影などを施行し外科的治療を考慮します。最近では体を傷つけることが少ない内視鏡下での尿道吊り上げ術が主に実施され効果を上げています。 腹圧性尿失禁の治療・新しいアプローチ

切迫性尿失禁の治療

切迫性尿失禁は膀胱の平滑筋が異常に収縮して生じる疾患です。そのため、最も大切なのは原因となる疾患を早めに治療することです。原因が明らかな疾患に伴って出現した切迫性尿失禁は原因疾患の治療で改善します。原因が不明の場合には膀胱平滑筋を弛緩させ、膀胱に尿がたまるようにする抗コリン剤が使用されます。この薬の服用で膀胱の異常収縮は改善し、尿漏れは消失します。 また遺尿症や夜尿症のように夜間に尿漏れが出現する場合には、三環系抗うつ剤が有効です。この薬剤には尿道閉鎖圧の上昇作用と膀胱収縮抑制作用があり、混合型尿失禁にも有効と考えられています。

腹圧性尿失禁の治療

◆ ホルモン補充療法
閉経期を過ぎると女性ホルモンの分泌が減少します。尿道粘膜や内尿道括約筋には女性ホルモンの受容体があり、若い時期には女性ホルモンも尿道内圧の維持に役だっています。しかし閉経後には尿道粘膜、粘膜下組織、尿道血管床の萎縮をきたし、下部尿路の不安定状態が生じ、尿道内圧が低下し、これが尿漏れの原因となります。ホルモン補充療法は更年期以後の女性の尿失禁を改善させる可能性があります。特に萎縮性膣炎を伴った高齢女性にはホルモン補充療法は有効な手段と考えられます。女性はもとよりヒトは心も体もいつまでも若々しくしていたいものです。
腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁ともに保存的療法、手術療法などによって十分改善する可能性があります。保存的療法の場合には、すぐに改善するわけではありませんので、治療中は失禁治療用に作られたパンツの着用が必要です。尿を素早く吸収し、確実に保水し、気になるニオイもシャットアウトする良質のものがあります。
腹圧性尿失禁は将来のわが国を背負って立つ元気な赤ちゃんを分娩したためのもの、更年期以後に出現する尿失禁は生理的な加齢に伴うもので、けっして恥ずかしい病気ではありません。一人で悶々と悩まないで早く診察を受けるようにしましょう。