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山王ドームクリニック

妊娠中に起こりやすい病気

妊婦貧血   妊娠高血圧症候群

妊婦貧血とは?

血液中に含まれている赤血球や血色素(ヘモグロビン)が不足している状態を貧血といいます。血圧が下がった時などにおこる”たちくらみ”の脳貧血とは別のものであり、自覚症状がないことも多いようです。
血色素は赤血球に含まれている赤い色素で、血液が赤いにはこの色素のためです。
血液は心臓から送り出されて全身に酸素や栄養分、ホルモン、熱などを運びます。そのうち酸素は血色素によって運ばれるため、この血色素が不足すると全身に酸素不足を生じます。そのため心臓は何とかしてこれを補おうとしてよけいにはたらくため、動悸(心悸亢進)や息切れ(呼吸促迫)、めまいなどの症状があらわれます。全身の酸素不足のためにからだもだるく、疲れやすくなります。
また、おなかの中の赤ちゃんにも影響がでる可能性もでてきます。
赤ちゃんは、子宮の中で羊水という、お水のなかに浮かんでいます。空気のないおなかの中では、自分で呼吸することが出来ません。子宮の中にいる赤ちゃんは、お母さんの子宮を流れている血液の中の、血色素が持っている酸素を、胎盤、へその緒を通して吸収し、呼吸をしているわけです。つまり、強い貧血は赤ちゃんが十分な酸素をもらえない状況になってしまうことになります。

貧血の種類と原因

貧血はその原因により鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球貧血に分けることができますが、妊娠中に起こる貧血はほとんどが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血とは、血色素の材料である鉄の不足によりおこるものです。その原因には、妊娠による鉄需要の増加、分娩、授乳などによる血液や鉄分の喪失などがあります。妊娠中は、おなかの中の赤ちゃんに鉄分を取られてしまうので、貧血になりやすくなります。妊婦さんの4分の1程度の方に貧血がみられるという統計もあります。

女性と貧血

わたしたちのからだの中には全体でおとそ4gの鉄が存在し、その63%(2.5g)は血色素の成分として赤血球中にあり、25%(1g)は貯蔵鉄として肝臓、脾臓および骨ずいにあります。この貯蔵鉄によって鉄不足による貧血はある程度防止されます。 これらのからだの中の鉄は尿、汗、大便中に1日あたり0.5〜1排泄され、さらに女性では月経により月15〜30、1回の妊娠・出産でおよそ1000が必要なのでこれを食物により補ってやる必要があります。
このように妊婦さんで鉄の需要が増大するには、胎児や胎盤などに供給するための血液が新たに新たに必要であることや、分娩時の出血などによるものです。男性では食物により1日1gの鉄を補えば十分ですが」、女性の場合は妊娠していない時その2倍、妊娠中はその3〜4倍以上の鉄を補給しなければなりません。先に述べましたように鉄欠乏性貧血の80%強が女性で、妊娠中の方に多くみられるということが、十分にうなずけます。とくに年子を出産する場合はいっそう鉄欠乏性貧血になりやすいといわれています。

妊婦貧血の予防

妊娠により鉄の需要は除々に増大し、妊娠後半期には急に増加して1日3〜7にも達します。そこで、鉄分の多い食品を多く取ることのより、貧血になるのを予防し、あるいは貧血となっても軽少にとどめることができます。植物性食品より動物性食品の鉄分の方がやや吸収されやすいといわれています。レバー、豚・牛もも肉、とりもつのような肉類は、鉄分とともに血色素の産生に欠かせない良質の蛋白を豊富に含みます。上手に食事に取り入れましょう。
また、果実や緑色野菜に多く含まれているビタミンCは鉄の吸収をよくすることが知られています。

妊婦貧血の治療

鉄剤による治療 漢方薬による治療

妊婦貧血のほとんどが鉄欠乏性貧血とされています。この治療は鉄剤によって行われます。鉄剤には内服用の錠剤やカプセル剤のほか注射薬があります。胃腸障害で鉄吸収が低下している場合や、出血がひどく急速に鉄を補給する必要がある場合以外は内服薬が使われます。内服薬は鉄が胃の中で一度に溶けだしておこる胃腸障害を防ぐため、除々に溶け出すように工夫された除放性鉄剤が用いられます。

鉄剤を服用すると、胃のむかつき、便秘、下痢などの胃腸障害がしばしばあらわれます。鉄剤がどうしても服用出来ない場合、漢方薬による治療があります。このお薬は、鉄の吸収を、助ける働きがあります。鉄分の多く含まれた食事を取りながら、薬を服用します。漢方薬のみでは治療にはなりません。

鉄剤を服用する時の注意

鉄剤を濃いお茶やコーヒーなどといっしょに服用すると、これらに含まれているタンニン酸という成分のため鉄の吸収が妨げられます。最近の鉄剤のなかには、これらの影響を受けないよう工夫されたものもありますが、鉄剤を服用する前後1時間ぐらいは、濃いお茶などは飲まない方がよいでしょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群をより早く見つけるためには、定期的に健診を受けることが大切です。妊娠中に健診を受けるために病院にいくと、血圧を測り、尿を取り、体重をはかりますます。これは全て妊娠高血圧症候群がおこっているかどうかを診断するために必要なことなのです。血圧をはかり高血圧の有無を調べ、尿の検査で蛋白が出ているかしらべます。また体重が急激に増えているようなときは、体の中に水が貯まった、つまりむくみが出ていると考えるわけです。

妊娠高血圧症候群の軽症と重症の判定

  血圧 蛋白尿
軽症 次のいずれかに該当する場合。
収縮期血圧140mmHg以上、160mmHg未満の場合
拡張期血圧90mmHg以上、110mmHg未満の場合
原則として24時間尿を用いた定量法で判定し、300mg/日以上で2g/日未満の場合
重症 次のいずれかに該当する場合。
収縮期血圧160mmHg以上の場合
拡張期血圧110mmHg以上の場合
蛋白尿が2g/日以上の場合

妊娠中に体重が急に増えると、太りすぎたのだと思い、体重を減らそうと一生懸命動いてしまうというような方がいます。体重が急激に増えた時は、お母さんが太ったわけではありません。体の中に水が貯まり(浮腫)体重が増えている事が多いので、体重を減らそうと動くと、妊娠で負担がかかっているお母さんの体にさらに負担をかけ、妊娠高血圧症候群が悪化しむくみが進み、逆に体重が増えてしまうとことになります。そこで、十分な休養と食事の注意が必要となるわけです。安静にすることにより、妊娠高血圧症候群の症状も軽減しむくみがとれ、体重が減少してきます。

妊娠高血圧症候群の予防と治療

妊娠高血圧症候群の予防のためには、睡眠・休養を十分にとり、過労を避け、肥満を防ぐことです。主食類、砂糖、菓子類くち控えめにし、脂肪の少ない肉、魚介類、そのほか乳製品、豆腐、納豆など良質のタンパク質や野菜、果物を適度に取り、塩味はうすくするようにしましょう。高蛋白・減塩食・低カロリー

家族の方々へ

妊娠高血圧症候群は、ある程度症状がすすむまでは、痛い、苦しい、などの自覚症状がなく、はたから見てもどうして病気なのかわかりずらいところがあります。しかし、そのままにしておくと急に重態となり、母児ともに危険な状態となることがあります。このような事態を防ぐため症状が出はじめたとき早期に安静と食事療法を守り、ひどくなるのを防ぐことが大切です。安静と食事療法を確実に行うためには、家族の方々の理解と協力が是非とも必要です。肉体的にも精神的にも妊婦に負担をかけることなく母体をまもり、可愛い赤ちゃんを迎えるよう、病院からの指導に御協力ください。