不妊症
挨拶
不妊治療について
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産婦人科学会では、この一定期間について「1年というのが一般的である」と定義しています。不妊のカップルは10組に1組と言われていますが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高いとも言われています。(日本産婦人科学会ホームページより)
統計的には年齢が35歳以上になると妊娠率が低下するので、不妊症が疑われる場合は、早めに受診し検査することをおすすめします。
当院では、「生殖医療外来」で日本生殖医学会認定 生殖医療専門医が診療を行っており、初診の方でも予約を取ることができます。
(注:二人目以降で不妊治療御希望の方は断乳後に受診するようお願い致します。)
当院での治療について
①タイミング指導
排卵日近辺に経腟超音波検査を行い、いつ性行為を行えば妊娠率が高いかの指導を行います。
②人工授精(AIHまたはIUI)
乏精子症やタイミング指導にて妊娠が成り立たない方に人工授精を行います。人工授精とは子宮内に精子を直接注入する方法です。精子を洗浄・濃縮して人工授精を行うパーコールAIHが可能なので保険適応(5400円+その他再診料など)となります。
※体外受精は当院で施行しておりませんので、必要と判断された場合は体外受精が可能なクリニックに紹介となります。当院で行った検査を全て同封した紹介状をお渡しします。
当院での検査について
①月経周期中行える時期が決まっている検査
- ●月経中ホルモンテスト(約3500円)
月経2日目から5日目のいずれかで行います。卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、プロラクチン、エストロゲンを測定します。同時に甲状腺機能と耐糖能機能も測定します。 - ●子宮卵管造影検査(約8100円)
子宮内に造影剤を注入して子宮の奇形や卵管の疎通性を確認します。クラミジア検査結果確認後に行います。また同意書が必要な検査ですので必要時に同意書を使用して詳細な説明をさせて頂きます。 - ●Huhner test(約280円)
子宮頚管粘液中での精子の運動性を確認します。現在重要性の低い検査となってきておりますが、不良な場合は精子不動化抗体を調べるきっかけとなるため、当院では施行しています。
②月経周期に関係なく行う検査
- ●クラミジア抗体検査(約1200円)
クラミジアは性交渉で感染する性感染症です。進行すると卵管閉塞により不妊の原因となります。抗体陽性の場合は治療対象となります。パートナーの検査・治療も必要となります。 - ●御主人の精液検査(約1180円)
精子の量、濃度、運動率、奇形率を確認します。少ない場合は人工授精や体外受精が必要になることがあります。 - ●AMH:アンチミュラー管ホルモン(約2400円)
卵巣予備能を測定する検査です。低値の場合は早めのステップアップをお勧めすることがあります。主に体外受精において採卵数を反映すると言われています。
③自費検査
保険適応のない検査です。
- ●感染症検査(約6800円)
B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、風疹抗体検査を行います。陽性の場合は治療が必要になります。母児感染を予防する目的もあります。風疹抗体が低い場合はワクチン接種が推奨されていますが、接種した場合2か月間の避妊期間が必要になります。ワクチンを接種しても必ず抗体がつくとは限りません - ●ソノヒステログラフィー(約9800円)
不妊症や不育症の原因となりうる子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫を明確に描出させる検査です。上記が疑われる場合に行います。月経直後に行う検査で、子宮内に生理食塩水を注入します。軽度疼痛を伴う可能性があります。また感染症の可能性もありますが頻度は0.1%未満です。上記診断となった場合、子宮鏡手術が必要な病院に紹介させて頂きます。
当院での不妊治療を主導させて頂いています。 妊娠・分娩という家族が増えることは誰しも胸の高鳴りを感じるワクワクするイベントで す。妊娠・分娩を希望される全ての方にその素晴らしいイベントを体験して頂くため不妊 治療に携わっております。当院ではタイミング指導療法から人工授精までを行っており、 これらは2022年4月から保険診療となっています。検査や治療の結果、体外受精が必要な 患者様には、連携施設への紹介を行っておりますのでご安心ください。その場合は当院で の検査結果を全て紹介状に同封させて頂きます。不妊治療は一定の治療法が確立されてお りますが、排卵障害など一部の患者様には個別化された卵巣刺激が必要になることもあり ます。患者様の体質に合わせた治療を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医 渡邉 建一郎